司会 |
デザインの引き出しって、デザイナーによって違いますか?
岡野 |
違うと思うよ。
神保 |
やり方は色々とあるからね。デザインって数式通りにやれば正しい答えが出るっていうもんじゃない。みんなそれぞれ色んなやり方があってしかるべきだしね。
司会 |
でも「これしかない」ってジャストアイディアで決めることもあるんですか?
神保 |
たまにはあるかな。お客さまとのコミュニケーションを重ねる中で、このテイスト、このデザインしかないな、というものが頭に浮かぶことはある。そういう時は複数プランじゃなく「御社は絶対これです」という出し方をする時もあるね。
司会 |
そういう「これしかない!」って空間が思い浮かぶとき、そのアイデアはどこから来るんですか? 私なら、どこかで見た空間しか思い浮かばない気がするんです。
神保 |
何の仕事だって、いっぱい仕事して色々なことを見聞きして、引き出しがどんどん増えていくわけじゃない。その積み重ねしかないと思う。
神保 |
ただ単純に「おしゃれな空間」を考えるだけだったら、きっとデザイナー3年目、4年目でも描けるとおもう。でも働き方まで落とし込んだところまで考えるってなると、絶対的に経験の差は出てくると思う。
司会 |
その点でいうと、当社はコンペに参加していない分だけ、同業他社さんと比べても案件数は飛びぬけて多いというわけではないじゃないですか……どうやって引き出しを増やしているのか? と思うんですが……。
岡野 |
確かに、コンペに参加しているオフィスデザイン会社なら、並行して数多くの案件を抱えている。いろいろな案件を見ている数という点では、他社さんの方が多いかもしれない。でも、案件が少なくても提出するのは2プランでも、そこに至るまでには、社内で色々なパターンをシミュレーションして、さらに深堀りするわけだから経験値が上がらないわけではないよ。
神保 |
あと引き出しを増やすという点では、いろいろなものをできるだけ見に行く。やはりメジャーなものは見に行くね。ただ、最新のビルといっても、表現としては、結構見たことあるものが多いね。 ちょっと昔、蛍光灯がLEDに代わったタイミングでは、新しい表現方法が増えたけど、今は最新のビルに行っても、見たことある表現が多い。決められた素材で、決められた法律の中で作っているから、見たことのないものってなかなか作れないのかもね。
司会 |
私の場合、グラフィックをやるので無意識に色々見ちゃうんですよね。例えば、電車の移動中でも、ほとんど無意識に中吊り広告をチェックしているんですね。
岡野 |
それは本当にあるね。街を歩いているだけでもある。意識していないと見えないものが、意識していなくても見てる。そして見てるところは皆と違うと思う。実際に触るしね。
神保 |
そうそう。
岡野 |
テーブルとか無意識に(材質確認のため)叩いているもんね。一緒にいる人からは「また、叩いているよ」って言われてハッと気が付く。
神保 |
歯を磨いて、顔を洗うのと一緒。それの積み重ねかなぁ。
司会 |
因みに、どんな癖があるんですか?
岡野 |
それは分からないよ、癖なんだから(笑)
神保 |
でも、あれかなぁ、間接照明を見ると、必ず裏側を確認するかなぁ。
岡野 |
絶対見るねぇ(笑) あと、床は触っちゃうね、絶対。ほら、椅子に座っていると床に手が届くじゃない。これ何の素材だろう、素材は本物かフェイクかって一応触ってみる。特に木製の床は、光沢がある場合はフローリングなのかどうかパッと見で分からない時もあるから。触ってみると「あ、これフローリングじゃない!」って時があるわけ。
司会 |
既製品は決まり物なので別だと思いますけど、造作什器だと特に気になりますよね?
岡野 |
気になるね。「このテーブルはすげぇピン角で痛たいな」とか(笑) こうしたら、さわり心地が気持ちいいとか。角度がどうとか。
神保 |
それはあるね。
司会 |
収まりとか、角度とか気になってしょうがないですか?
岡野 |
気になって仕方ない。でもねぇ、生き辛いよ、そんなの(笑)